大人の乗り物

社会人になって、気軽にタクシーに乗る機会が増えたように思う。ちょっと遅刻しそうになると、すぐ道に向かって手を上げてしまう。
終電間際になっても、「まあタクシーで帰ればいっか」なんて考えで明け方まで飲んでしまったりするのだけれど、積み重なればなかなかの出費である。

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子供の頃は、タクシーというのは大人の乗り物だと思っていた。
タクシーに乗る機会といえば、実家に帰って親族一同で食事に行く時くらいだったが、
「ここは俺が払うよ…」
「ああ、そう、悪いねぇ…」
なんてやり取りは、どこか大人びてカッコいいなと思っていた。

それが今や乗りたい放題(というかやりたい放題)である。
いつの間にか、大人の階段を飛び越えてしまった感が否めない。

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この前の月曜日、神田から南千住まで歩いた。日中に、徒歩で、である。
その日は記録的な猛暑で、熱中症で病院に搬送された人の数が、東京だけで100人を超えたらしい。そんななか、徒歩で、である。もちろんタクシーは使っていない。

普段は口数の少ない陰気な人間なのだけれど、歩きながら話すとスルスル言葉が出てくる。リズムが付くからなのか、風景が変わることで気がまぎれるからか、理由は分からない。
目的もなく歩くなかで何気なく交わした会話こそ、案外心に残っていたりするものだと思う。

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中島みゆきの「タクシードライバー」という曲をご存知だろうか。後部座席で酔っ払って泣いている女性に対して、タクシードライバーが訳も聞かずに、天気と野球の話を延々としている、という歌である。
自動運転もいいけど、やはりタクシーにはタクシードライバーが必要だと思う。悲しいことがあった日は、訳も聞かずに天気と野球の話ばかりしてほしいのである。

今日も劇団春眠党ホームページに来てくれてありがとう。なんだかコブシのきいた文章になっちゃったな。





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